犬と思ったらとんでもない動物だった!中国人女性に起きた世界が驚いたびっくりハプニング

小さな子犬を受け入れたスー・ユン。フワフワの子犬に「リトル・ブラック」という名前を付けて、それはそれは可愛がっていました。でも、リトル・ブラックは食事の量も鳴き声も、何だか他の犬と違うみたい…。

さて今回紹介するのは、世界中が驚いて海外メディアから取材まで受けてしまったスー・ユンに起きたびっくりエピソードです。もふもふのお尻のリトル・ブラックの正体は何だったのでしょうか?

物語の舞台は中国雲南省

中国雲南省に暮らしている一人の女性、スー・ユン。彼女は自身の両親と一緒に暮らす、とても家族思いの女性でした。そんなある日スー・ユンは思い出作りに家族旅行を計画します。スー・ユンの計画通り旅行に出かけた家族は、旅先でとある一匹の犬に出会いました。一匹の犬は真っ黒でフワフワな毛皮をしており、信じられないほど可愛かったようです。

スー・ユンを含め家族たちはこの犬の魅力に不思議なくらい惹かれてしまいました。特にスー・ユンは一目見たときから目が離せなくなってしまい「どうしても家族に迎え入れたい!」と思います。そう、ここからが運命の始まりでした。最終的にこの犬は警察に連れていかれてしまうのですが…「どういうこと?」というあなたのために、事の顛末をお話していきましょう。

ふわふわの子犬を迎え入れた家族

旅先で出会った黒くフワフワな子犬。見ているだけでも癒される子犬に一目惚れしたスー・ユンは、結局この子犬を家族に迎え入れます。これから一緒に暮らしていくことを想像しながら、旅先から子犬を連れ帰ってきました。ただ、犬種が分からなかったため、家族が子犬のことを簡単に調べてみます。すると、どうやら「チベタン・マスティフ」という犬種のようでした。

種類が分かるとなぜか一層愛着も湧いてきますよね。事実、家族の愛情に触れたためか、子犬も嬉しそうでした。しかし、チベタン・マスティフと呼ぶのは大変ですし、もっとハッピーな名前を付けてあげた方が子犬も喜ぶでしょう。そこで、スー・ユンたち家族は子犬の名前を考え始めました。

子犬の名前は「リトル・ブラック」

子犬の名前はリトル・ブラックに決定しました。理由は小さくてフワフワの真っ黒な子犬だったからです。見た目のままのようにも思いますが、スー・ユンはその見た目に惚れ込んだのですから、全うな理由かもしれません。そうしてリトル・ブラックとスー・ユンたち家族の新たな生活が始まりました。

それはとても幸福な時間でしたし、スー・ユンはリトル・ブラックとの出会いを運命だと感じていました。もちろん、スー・ユンだけでなく家族たちもリトル・ブラックに出会えたことを心から嬉しく思っています。リトル・ブラック自身もスー・ユンたち家族に出会えて嬉しそう。その証拠に、慣れない環境にもすぐに適応して、すっかり家族の一員になりました。

チベタン・マスティフってどんな犬?

チベタン・マスティフは中国チベット高原を原産にする超大型犬です。ブラックやブラウンの毛色が多く、被毛の長いタイプはフワフワとした長い毛が特徴。最近では温厚な性格になってきましたが、元々は護衛犬として活躍していた犬で、独立心と防衛本能が高めです。

チンギス・ハンの時代には軍用犬として戦争などでも活躍していた伝説を持ち、過去にはSNSでライオンと戦う姿が拡散されました。その影響から中国の富裕層の間では、ボディーガードとして連れ歩くのがステータスとなり、価格が高騰したこともあります。確かにライオンと戦える犬なんて、ボディーガードには最適ですね。

いつもお腹を空かせている可愛いリトル・ブラック

リトル・ブラックは子犬で育ち盛りだったためか、かなり食欲旺盛。そのため、いつもお腹を空かせていて何でも食べていました。食事を頬張る姿を見るのはスー・ユンにとってたまらなく幸せな時間です。しかし、心配なのはリトル・ブラックの体調でした。見ているだけでも嬉しい気持ちにさせてくれるリトル・ブラックですが、スー・ユンは立派なチベタン・マスティフの成犬に育ってくれることだけを祈っていました。

健康的に育ってくれれば他に何もいりません。その期待に応えるように、リトル・ブラックは何でもたくさん食べて、すくすく成長していきました。リトル・ブラックがスー・ユン家族の元へやってきてから、あまり時間は経っていないことを考えると驚くべき成長スピードです。

リトル・ブラックは1ヶ月で驚くほど成長

順調に大きくなっていったリトルブラックの体重は、1ヶ月間で驚くほど増えていました。かなり異常なスピードにも感じましたが、スー・ユンはあまり気にしていません。むしろ、リトル・ブラックが立派な成犬になってくれるのを楽しみにしていました。しかし、不安に感じる部分もあったようです。

それはリトル・ブラックがいつまでも食欲旺盛だったこと。「こんなに食べる犬は見たことがない」「どうしていつもこんなにお腹が空いているんだろう?」「このまま食べ続けてどこまで成長するの?」そんな疑問がスー・ユンの頭をよぎっていました。確かに、子犬とはいえ異常な食欲と異常な体重増加は心配ですよね。食事を与えなかったらどうなってしまうのか?という不安もあったはずです。

リトル・ブラックが二本足で立った!?

そんなある日、リトル・ブラックは家族を仰天させる行動をとりました。なんと、二本足で立ち上がったのです。確かにエサに反応したり驚いたりすると立ち上がる犬はいるかもしれませんが、それでも一瞬だけでしょう。訓練しなければ立ち上がれる犬なんてあまりいません。しかしリトル・ブラックはしっかり2本足で立ち上がりました。スー・ユンは今まで2本足で立ち上がる犬なんて見たことなかったため、かなり驚いたといいます。

それでもスー・ユンや家族たちはリトル・ブラックが好きだったため、奇妙な行動も気にしないようにしていました。それからはあまり心配しないよう心に決め、これまで以上に愛情をたっぷり注いで可愛がりました。そのため、リトル・ブラックも家族たち全員にとても懐いたようです。

リトル・ブラックを見て恐怖を感じることも…

リトル・ブラックの異変にはスー・ユンだけでなく家族たちも気づいていました。全員、リトル・ブラックは普通の犬ではないかもしれないと思い始めていたのです。そのため、最初は元気によく食べる健康的な子犬だと思っていましたが、今ではリトル・ブラックの食欲旺盛さや異常な発達具合に恐怖を感じることもありました。

そんな中での奇妙な行動、2本足で立ち上がる姿はスー・ユンたち家族以外だったとしても疑惑を抱かずにはいられなかったでしょう。それでも家族たちはリトル・ブラックを愛し続けると決めていたため、しっかりお世話を続けていました。心配をやめようと思っていたスー・ユンや家族でしたが、その期待を裏切るようにリトルブラックの異変は続きます。

鳴き声が変…歯も犬の歯に見えない…

リトル・ブラックは2本足で立ち上がる以外にも、犬だと疑いたくなることがありました。例えば鳴き声です。犬といえば「ワン!」と鳴くのが一般的でしょう。しかしリトル・ブラックに関しては、犬とは思えない鳴き声をしていました。それどころか、吠えるというより叫ぶような声を発したと言います。さらに、心配だったことは現実になっていきました。

食欲旺盛だったリトル・ブラックは体重や身長が急速に成長しただけでなく、歯も大きくなっていたのです。特に前歯に当たる犬歯が急速に大きくなり、とても長くなっていました。それはどう見ても犬の歯だとは思えません。ここまで来ると、スー・ユンたちの心配も急加速します。「もしかしたらお腹を空かせて誰かを襲うかもしれない…」なんて不安もよぎりました。

ついに雲南省宜良郡の動物愛護公安局に通報

リトル・ブラックの急成長を経て、スー・ユンたち家族は恐怖に怯えていました。もちろん愛情は残っているため、リトル・ブラックを抱きしめて撫でてあげたい気持ちもあります。しかし、一番リトル・ブラックを大切にしていたスー・ユンでさえ、近寄って触ったり撫でたりするのが怖くなっていました。そして、もう自分たちの手には負えないと判断したスー・ユンは雲南省宜良郡の動物愛護公安局に通報することに。

公安局はすぐに駆けつけ、一家は公安局に色々な質問をされました。スー・ユンたちは何も隠さず正直に答えます。そんなスー・ユンたち家族を見ていた公安局は、スー・ユンたちが真実を語っていると判断して、聞いた話をもとに必要な手続きを取ると約束しました。

リトル・ブラックはツキノワグマだった!

リトル・ブラックを大切に育ててきたスー・ユンたち家族でしたが、公安局からとてもショックな内容を突きつけられます。それは、リトル・ブラックがツキノワグマだったことです。判断をしたのは獣医ですが、獣医はプロなので間違えるはずはありません。外見を見た瞬間少なくともチベタン・マスティフではないと分かったと言います。

そして、スー・ユンたちの元で暮らしていたときの、生活の様子や奇妙な特徴を聞いてツキノワグマだと確信しました。この話を聞いてスー・ユンはとても悲しくなりました。なぜなら2年間も一緒に暮らしていた犬が、実はクマだったからです。それ以上に、リトル・ブラックにはもう触れないことが本当にショックでした。

ツキノワグマの基本情報

ツキノワグマは名前の通り胸部に三日月形の白い模様があるクマです。別名アジアクロクマ、ヒマラヤグマとも呼ばれていて、日本、中国、インド、アフガニスタン、ロシア東部など広く分布しています。体長は約120cm~180cmにもなり、体重はオスで80kg、メスで50kg程度です。オスの場合は大きい個体で120kgまで成長するものもいますが、個体さは大きく、日本では過去に220kgの個体も捕獲されました。

基本的に全身の毛は黒く覆われているものの、中には赤褐色の個体もいます。雑食性で何でも食べるクマですが、実は植物が主食。例えば冬眠から目覚めた早春には新芽や若葉、前年の秋に落ちたどんぐりなどの木の実を食べています。ただし、牛や羊のように食物繊維を消化する特殊な消化器官がないため、硬く繊維質の植物は食べません。

ツキノワグマ実は絶滅危惧種

実はツキノワグマが絶滅危惧に指定されているのをご存じでしょうか?絶滅危惧種は基本的に殺してはいけないはずですが、毎年狩猟されているイメージがありますよね。それは、ツキノワグマが人間にとって脅威であり、例外になっているからです。ただし、殺してはいけない県や地域もあります。例えば四国地方ではツキノワグマの保護活動が盛んです。なぜなら、一度地域から絶滅すると自然の力で復活するのは難しいため、動物保護団体によって守られています。

ちなみに、九州地方では数が激減し、既に絶滅したと考えられているようです。全ての地域で狩猟を禁止にできないのは、クマが人間に対して脅威だからでしょう。また、人里に降りてきたクマは山に戻してもまた降りてくる可能性があり、作物や人を襲う被害が考えられます。そうした理由から、一部の地域を除いてツキノワグマの狩猟が許可されているようです。

ツキノワグマは闇市場で取引されることも

ツキノワグマは大変希少価値が高く、闇市場で違法に取引されることがあります。中でも「熊の胆(クマノイ)」は昔から薬として活用され、現在でも高い価値のあるものです。価値の高さはその薬成分にあります。なぜなら、薬成分の1つとなるタウロウルソデオキシコール酸はクマ類しか持っていません。

現在は科学的に合成できるようになりましたが、ベトナムなどでの需要が高く、違法に売買されることが多いようです。取引が違法な理由は先に紹介した絶滅危惧種に分類されているため。絶滅危惧なのは日本だけでなく、世界でも同様で、基本的には保護しなければいけません。今回スー・ユンは違法取引するために育てられたツキノワグマを購入してしまったと考えられます。

公安局による獣医検診を実施

公安局がスー・ユンの家を訪れたとき、最初に行ったのは獣医検診でした。検診の結果、リトル・ブラックは身長110cm、体重200kgだと分かります。そして、スー・ユン家族の元で、子熊から成熊に育てられたことが分かりました。同時にチベタン・マスティフではなくツキノワグマだということも発覚。

このとき獣医は、リトル・ブラックがただのツキノワグマではなく、アジアクロクマに分類されることも教えてくれました。スー・ユンはリトル・ブラックがツキノワグマだと分かって一層恐怖心が出てしまいます。今では完全にリトル・ブラックを恐れていて、家族が食べられてしまうのではないかと恐怖に怯えていました。そのため、リトル・ブラックがお腹を空かせないようたくさん食事を与えるよう気を付けます。

スー・ユンは警察に捕まってしまう可能性も?

中国の法律では野生動物の取引が禁止されています。そのため、場合によっては警察に捕まって懲役刑が科される可能性もありました。そのためスー・ユンにとって、リトル・ブラックをこれ以上家に置いておくのはリスクが高いどころか、到底不可能だったのです。スー・ユンは恐怖を感じていても、リトル・ブラックに対しての愛情が消えたわけではありませんでした。

自分や家族、そして周りの子供達に牙を向くリトル・ブラックの姿なんてみたくありません。そこでスー・ユンは新たな対策を考えることにします。それは、新たな受け入れ先探しです。もし、新たな受け入れ先が決まれば、この先もリトル・ブラックは安心して生きていけるでしょう。反対に見つからなければ殺されてしまうかもしれません。

動物園に頼むも引き取ってもらえず

まずスー・ユンが思いついたのは動物園に引き取ってもらうことでした。しかし、動物園は数ぐに引き取りを拒否します。なぜならリトル・ブラックには出生証明証など適切な書類がなく、そもそも取引なんてできなかったからです。また、スー・ユンたち家族はリトル・ブラックを旅行中に購入していたため、ブローカーの連絡先も正確な住所も分かりませんでした。

こうなってしまえば、スー・ユンにはもう選択肢がありません。唯一できることといえば警察に連絡することくらいでした。しかし、警察は獣医から既に情報を得ていて、スー・ユンが連絡する前に到着。スー・ユンはどうにかリトル・ブラックの新しい家を探してもらおうとできる限り正確な情報を伝えました。

ナショナル・ジオグラフィックもこの件を取材

ツキノワグマを犬だと思ってしまう奇妙な事件は、警察だけでなく多くの人が困惑しました。実際、アメリカのナショナル・ジオグラフィックも取材に駆けつけ、全世界にスー・ユン家族の事件が発信されます。それがきっかけとなり、世界をも騒がせるビッグニュースとなりました。多くの人がこの事件に注目したのは、スー・ユンが懲役刑になるのかどうか分からなかったためでしょう。大抵の人は懲役刑になる可能性が高いと判断していました。

しかし、スー・ユン家族は捜査に対して協力的だったため、警察もスー・ユン家族に同情します。その結果、スー・ユン家族には非がない判決に至りました。それもそのはず、リトル・ブラックをクマだと思って飼っていたわけではなく、あくまでもチベタン・マスティフとして飼っていたわけですからね。スー・ユンと家族が捕まらなくて良かった!

犬だと思ったらクマだったという経験は珍しくない

スー・ユン家族のリトル・ブラック事件がナショナル・ジオグラフィックによって世界に発信されると、意外にも多くの人が反応してきました。なんと、とある動物を飼ったら全く別の動物だった…という事例は世界中にたくさんあったのです。つまり、スー・ユン家族に起こった出来事は、珍しいことではありませんでした。また、クマだけでなく他の動物でも間違いは起こるようです。

例えば、別の中国人女性の場合、日本スピッツだと思って飼っていたのが野生のキツネだったり、スー・ユンと同じく雲南省に暮らす男性は、ノラ猫だと思って連れ帰ったら野生のベンガルヤマネコだったり。しかし、専門家は「クマが鳴くのを聞いて犬だと思う人はいない」と否定的な意見を述べています。でも、確かに小さなリトル・ブラックは犬みたいに見えますよね。獣医でない限り、専門的なことは分かりませんし…。

リトル・ブラックとスー・ユンの別れ

スー・ユンが刑務所に入ることはありませんでしたが、リトル・ブラックとは別れることになりました。これ以上リトル・ブラックと暮らしていくのはかなりリスキーだったためです。動物園に断られたリトル・ブラックの新しい家は自然保護区でした。自分たちの手元から離れてしまうものの、スー・ユン家族はこれがベストなことも理解しています。

しかし、2年間も一緒にいた動物がいなくなるのは寂しさもありました。たとえツキノワグマだと分かっていても、家族の一員だったことに変わりありません。幸運だったのは、リトル・ブラックがこれからも幸せに生きていけることでしょう。この物語は全ての人にとってハッピーエンドになったわけです。スー・ユンと彼女の家族はかなり風変わりな経験をしましたが、これからも思い出を大切に家族仲良く暮らして欲しいですね!

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